「異国の丘」初日観劇 10月16日①
まるでうっすらと漂う雪煙のような、半透明の幕の向こう。
真っ白な防寒着に身を包んだ抑留兵士達が重々しく歌う
「明日への祈り」から「異国の丘」の物語は始まります。
「異国の丘」名物のこのシーンは、やっぱりインパクトがある!
CM等でもよく流れてるので、見たことあるが方も多いと
思いますが、物語を象徴するような印象的なオープニング!
兵士達の重厚な歌と演出で、観る者の心を一気に
シベリアへ!
微動だにせずに歌う彼らの服の上を、冷風を表現するかの
ような薄い光が流れていくのが、また凄く綺麗で。
本当に舞台から冷気が流れ出てくるみたいでした。
と、まぁ演出や兵士ズの歌声に感動しつつも、目はもちろん、
中央に立つ、あの御方に釘付けですよ!
出ましたーーー下村尊則ボチさん!デビューほやほや!
本当の本当に、下村さんがボチさんやってるヨ…!
キャスト表を見たくせにと妙な興奮をしながらも、あらあら!
下村さん、防寒着姿が結構お似合いです。
体格もがっしりしているので、実在の近衛文隆さんに近い
感じのボチさん、といった感じでしょうか。
なんかこれならシベリアでも生き残れそう。
肉付きもいいし…。(余計なお世話です)
ただ目元の皺とかが少し気になる…きっと強制労働で
疲れてるんでしょうね…。(もっと余計なお世話です)
物語はシベリアに抑留されている現在と、過去を行ったりきたり
します。
シベリアで過酷な労働を強いられつつ、名家の御曹司でもある
九重秀隆(下村尊則)は、ソ連の協力者となること誓うようソ連の
女将校に尋問・強要される日々。
「脅しに屈して、祖国を裏切る人間ではない!」(熱)
「あるはずもないっ!!」(熱熱)
「そうだろう、みんなっ…!!」(熱熱熱)
熱い…!熱いよ下村ボチ!まさに炎のプリンス!!
稽古では浅利さんに「その1/3でいい」と言われてた下村さん、
これでまだ1/3のパワーだってのか!?オラびっくりしたぞ!と観客総孫悟空状態になってしまうくらい熱いです。
立ち居振る舞いはそうでもないんだけど、セリフを言う時に明らかに
身体に力が入ってました。初日だから緊張してたのかな?
話は秀隆がアメリカ留学していた学生時代へ。
来ーまーしーたーよー!ボチ役者最大の難所、NY時代が!
ピチピチのナウなヤング・下村尊則ボチが
今、紺のブレザーを華麗に身に纏い、
ぴっちりセンター分けの髪も麗しく参上!
だ、だいがくせい…?しかもここここんブレ…紺ブレ…
ありえない…どう見ても大学生には見えない…(うなされ中)
シモ様、シベリアシーンの防寒服とかは似合っててかっこいいのに、
やっぱりというか、このNYの若者シーンはきつかった!
だって全然若々しくない(笑)!
髪の毛もぺったんこのセンター分けだし。
ほとばしる若さの代わりに、なんか貫禄が溢れてました。
「…それは凄いルール違反です。アハハハっ!」
ってむしろあなたが凄いルールいは…(コラ!)
また笑顔が、凄いシモ様スマイルでねぇ。
下村さんが普通の人間の役で、こんな裏表のないまっすぐな好青年を爽やかに演じてようとしている姿を見られただけで、この舞台を見に来た甲斐がありましたとも!
あと、下村ボチが帽子をかぶって皆の前で踊るシーンは、今にも
「勝手にしやがれ」とばかりに帽子を客席に投げそうでした。
本当は隣の深水さんの神田(大学生☆)も相当アレなはず…
なんですが、シモ様この時、まだ大学生~♪があまりに凄いので、
なんか誤魔化されてしまっている感じです。
(いや別に深水さんはシモ様でカモフラしてるわけじゃ…)
神田は、あまり容姿の変化はない(老け顔ともいう)タイプっぽいし。
でも頭の固い、当時の典型的な日本の若者って感じで、若さゆえの
不器用な頑なさも、後半の年齢を重ねて変にひねくれて意固地に
なってしまった所も上手いです。
あと、ムキになって「オレは好きとは言っていない!」って否定
したり、愛玲に夢中な秀隆に「つきあいきれんな!」と言った後、
フッと去り際に一瞬笑顔を見せるところが、気の置けない親友同士
っぽくて深水さんの神田すごく好きー!
「ミスター…ボチ…」と、下村ボチを熱く見つめるのが、
木村花代愛玲!わーん可愛いよ~!
レトロな衣装もよく似合ってるし、何より若いし!
いや下村さんと並ぶとほんと若さが際だつというか!
本当に可憐で優しそうな愛玲でした。
見守る坂本里咲花蓮は、優しいお姉さんのような感じ。
劉玄は今回初めて見る青山祐二さんでしたが、若くてスラッと
した長身でステキ!
彼と後に出てくる賢忠の中村啓士さんは、全体的に濃いこの
舞台の中で一服の清涼剤になりました…ええ。
アメリカの工作員であるワトソン教授とフォーゲル夫人の策略に
より、引き合わされ、互いの名前も素性も知らないまま恋におちた
下村秀隆と木村愛玲。
二人は翌日の英国領事館のパーティで再会し、相手がそれぞれ
日本の首相の息子、中国の高官の令嬢であることを知ります。
ここの白スーツの下村ボチも強烈ですが、高橋征郎さん演じる
英国のメイ総領事、ちっちぇぇー!!
ちっちゃい人がスーツ着て偉そうなので、
池乃めだか師匠かと思いました…。(失礼)
花代愛玲の「哀しみの祖国」は綺麗でした~はぁ。
チャイナドレスも可愛かった~。
場面は再び極寒のシベリアへ。
過酷な労働、満足でない食事…。
錯乱して隊列を見出しただけで銃殺されてしまう日本兵士。
ああ、今撃たれた貴方は、さっきNYのお店で踊っていた方…!
(それがアンサンブルというものです)
抑留兵士達の歌う「虐げられて」は本当に聞いてて辛い。
その切々と歌われる歌に涙しつつも、聞き覚えのある歌詞に思わず
同じタイミングで双眼鏡を掲げてしまう私と隣のtkcさん。
「夕べ隣に寝ていた男は夜明けに冷たくなっていた~♪」
…凝視。
この兵士、ユーチャンじゃなかったよ…(しくしくしく)
わかってた!わかってたのそんなこと!名前載ってないんだから!
でも顔を確かめずにはいられなかったの…。
馬鹿な女と笑うがいいわ!いやむしろ笑って!グハハハ~(デビル)
下村秀隆にソ連への忠誠を誓わせるべく、女性将校ナターシャは
他の収容所から秀隆の旧友・神田を呼び寄せ、説得を命じます。
秀隆と神田は再会を喜び、再びアメリカ時代を回想します。
場面は再度アメリカNYへ。
敵国の首相の御曹司である秀隆に心惹かれつつ、迷う愛玲。
里咲花蓮と歌う「許されぬ恋」は女声ハーモニーが綺麗。
しかし秀隆は首相である父から帰国して秘書官になるよう言われ、
愛玲は戦争で負傷した祖母のためやはり中国に帰国することに。
二人は約束していたワシントンスクエアで、束の間の逢瀬を。
ここの下村ボチさん、白シャツ姿に背広を肩からかけて、
公園のベンチに座っているんですが…
どう見てもお昼休み中のサラリーマンにしか見えません。
夏のニュース映像でよく流れる、公園の風景を思い浮かべていただ
ければわかりやすいかと。いるいる、こういうサラリーマン。
しかも花代愛玲と並ぶとシモ様貫禄ありすぎて、
なんか不倫してる部長と若い部下みたいよ?
愛玲と別れて「青春よ、さらば…」ってあんたまだ20歳ちょいのくせにー!
…見えないけど。貫禄ありすぎて20歳ちょいに見えないけど。
でもこの後の神田とのやりとりは好きです。
そしてそして。さぁー来ましたよ!
この舞台最大のキモ!1幕ラストを飾る船のシーンです!
秀隆と愛玲がそれぞれ帰国の船の上で、互いを求め合う愛の
デュエットを奏でる感動的なシーン…のはずなんですが。
まるでコーヒーカップのように舞台をぐるぐる動きまくる、
船の突端部分!!だけ!!
おかしい…明らかにここ演出おかしいよ…
この船、両袖からそれぞれの乗った船が突端だけ見えるとかって
いう演出ならまだしも、突端しかないのに入れ違ったり舞台を
前後したりするからおかしいと思うんだよね…
人力だし。船の中の人も大変だな…。
あまりに可笑しいんで、口元押さえてプルプル肩を震わせていたら、
隣のtkcさんは笑ってるのかな?感動して泣いてるのかな?
やっぱり笑ってるんだろうなーと思って見ていたのだそうです。
ええ、笑いましたね、つい!!(つい、じゃないだろ)
いや、泣き笑い?てへ☆
こうして一幕は無事終了。
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うはぁ…キャスト的にも演出的にも相当濃ゆそうな舞台ですね…!
失礼ながら、異国は観たことないから観ておこうくらいのノリで
チケット取ったのですが、俄然楽しみになってきました。
そしてもう恒例になってきてしまったこの言葉。
「今週も北やんいませんでしたね…。」
うわーもうヤダー!!
投稿: shiki | 2005年10月17日 (月) 21時44分
長編レポありがとうございます~♪
なるほど、「シモムラの丘」って感じですね!(笑)
熱そう!濃そう!
シベリアのシーンは想像できても、若者時代のシモ様はどうしても想像できなかったんですけど、やっぱりちょっと(?)無理がありましたか。
相手が花代さんなので余計にそう感じるのかもしれませんね。>不倫(笑)
シモ様のお相手は、佐渡さんや保坂さんにお願いして、花代愛玲には北澤ボチはどうですかね?
・・・北やん、今どこにいるんだろう?
投稿: うさこ | 2005年10月17日 (月) 22時03分
>shikiさん
いえ、あの泣ける話です本当はたぶん。
でも今回はどうしてもシモ様に注目せずには
いられなくて!
shikiさんもいかれるんですね!感想を楽しみにしてます!北澤さんもかつて抑留兵士で素敵な
ソロパートを聞かせてくれた舞台ですしね!
って北やん、本当にどこ行ったー!!
そんな合い言葉嫌ですー!!
>うさこさん
大学時代は…石丸さんですらギリギリですから…。でも下村さんのシベリアシーンは良かった
ですよ!
でも下村さんとラブシーンのある愛玲役も結構難しいですね(笑)。木村さんとは確かに不倫っぽいというか、違う意味で「許されない愛」でしたが、佐渡さんとだと迫力ありすぎるかな~(笑)?
投稿: mari | 2005年10月19日 (水) 02時19分
静馬さんのところから飛んできました。
PCの画面を前に夜中ひとりで笑う女...結構不気味な構図の私です。
レポ読んで観たくなってしまいました。
でもテーマが悲しすぎるから二の足踏んでしまっています。
ああ、でもシモ様も観たいかも。
TBさせていただきましたのでよろしくお願いします。
投稿: ♪~ | 2005年10月19日 (水) 23時44分
>♪~さん
こんにちは。TBありがとうございます。後で遊びに行かせていただきますね。
シモ様のボチは、貴公子石丸ボチとは全く別の生き物として見れば、全然アリだと思います。
確かに重くて暗いテーマ・物語ですが、音楽もいいので、実は個人的には「三部作」の中で一番好きな作品です。シモムラさんで見ることになるとは、思わなかったけどなっ(笑)!
投稿: mari | 2005年10月20日 (木) 18時45分
はじめまして。♪~さんの所から参りました
チロルと申します。
TBさせていただきました!
♪~さんが「PCの前で笑ってしまった。」と
書かれていたのを見て、飛んできたのですが、
楽しく読ませていただきました♪
特に下様ボチの描写は、本当に見たまんまで
凄いです!
船の突端部分だけグルグル動く所は
私も危うく笑いそうに(笑)
投稿: チロル | 2005年11月25日 (金) 23時05分
>チロルさん
初めましてチロルさん!TBありがとうございます。
下村ボチさん、凄かったですよね~(笑)。私は初日の週に見たのですが、今度また楽に行くのでシモ様がどう変わったのかその変化も楽しみです。
船の演出は変わってないと思うので、そこもまた楽しみです(笑)。笑って一幕終わるというのもいいですな…。
投稿: mari | 2005年11月27日 (日) 02時03分