7月大歌舞伎 昼夜 7/23
実は泉鏡花、読んだことありません…。
自分、国文学専攻のくせに!しかも近代文学ゼミだったくせに!
でもそのぶん、先がわからない物語を楽しむことができました。
もう日が経ってしまったので、駆け足で感想などを。
【夜叉が池】
百合・白雪姫:市川春猿 萩原晃:市川段治郎
代議士穴隅鉱蔵:板東薪車
湯尾峠の万年姥:上村吉弥
と言いつつ、実は前半部分を見られませんでしたー…。
…物語は後で小説読んで補完しよっと。そうしよっと。
夜叉が池の主である妖しの存在である白雪姫と、一人2役で
やはり春猿さんが演じてる人間の娘・百合との動と静の対比と、
表現の仕方は違えど愛する人への一途な想いなど、良かったです。
最後、人間の身勝手さによって村が水に沈み、それによって
白雪姫が鐘の誓いから解放され、「私は剣が峰へ行くよ」と
嬉しそうに言うあたりは、痛快でした。
白雪姫の、他の人間の命を犠牲にしてでも愛する人に会いたいと
願う女の話で、思い出したのが「八百屋お七」。(北島マヤ)
それにしても、段治郎さんの好青年役って似合うなぁ。
声も、好青年声なのがステキ。真面目で誠実な雰囲気が
ぴったり。大正桜に浪漫の嵐って感じの和装+洋装の
衣装も似合ってました。
人間の身勝手さと、神々の高潔さってのは今回昼夜通して、
というか泉鏡花のテーマだったのかな?
【海神別荘】
美女:板東玉三郎 公子:市川海老蔵
女房:市川笑三郎 沖の僧都:市川猿弥
大理石の円柱に金の貝殻の飾り、ハープの生演奏…
アクアリウム・歌舞伎座へようこそ。
友人は「ディズニーシーみたいだ」と言ってましたが、私は
なんだかギリシャ神話の宮殿みたいだと思いました。
色々な意味で、歌舞伎っぽくないと言うか。カテコもあったしな。
役者さん達の衣装も、一応着物テイストも残しつつも、基本は
西洋の鎧・マントやドレス風。
海老蔵公子なんて、スパンコール付き黒タイツに黒マントだからね!
しかしやっぱり、着物より洋装の方が体型って出るなぁ。
玉三郎さんの美女は結構肩ががっちりしてるのが、ロングドレス姿
から見てとれました。
さて、今回初めて見る海老蔵さん。
元々顔立ちがドハッキリしてる人だとは思ってましたが、メイク映え
するというか、衣装負けしないというか。
声は、たぶん意識して高めで出してたと思うんですが、海老蔵さんと
言えば大河「MUSASHI」しか知らない私だよ。
何かっちゃー「オレはっ、弱いっっっっ!!」ってドスの効いた低い
声で言ってたからなぁ。最初違和感が(笑)。
海老蔵さんの公子は、まっすぐな心根と、神であるが故に人の心の
機微を理解しないちょっと残酷な無邪気さがありました。
言ってることは、イチイチ最もだと思うんだけど、「最も」のとおり
動かないのが、清濁合わせた人の心ってもんで。
…まぁ私はおおむね公子の言ってることに賛成だけどね。
人の心の醜さに決別した美女は、最後には公子と同じ位置に
立ったのだろうな、と思われるラストでした。
【山吹】
辺栗藤次:中村歌六 島津正:市川段治郎
縫子:市川笑三郎
凄い倒錯の世界だったよ…。折檻してくれって頼んだり。
最初ドン引きしてた島津段治郎も、最後には半ば引きづられ
かけてたからね。
しかも服装はシャーロック・ホームズだった…。
でも「仕事があるから」って理由でこっちに戻ってきて
くれて良かった良かった。
みんながみんな、誰かを恋い慕う想いで病んでいくような
不思議なお話でした。でも縫子の行動は島津に対する当てつけ
っていうか嫌がらせなんでしょうか笑)。
【天守物語】
天守夫人富姫:板東玉三郎 姫川図書之助:市川海老蔵
近江之丞桃六:市川猿弥 奥女中薄:上村吉弥
小田原修理:板東薪車 亀姫:市川春猿
十文字ヶ原朱の盤坊:市川右近
茅野ヶ原舌長姥:市川門之助
玉三郎さんの富姫はさすがの妖艶さでした!
当たり役というのも大いに納得です。
春猿さんの亀姫とのやりとりは姉妹みたいに可愛くて大好きです。
結構冒頭はコミカルなノリかと思ったら(図書之助と出逢って
「帰したくなくなった」とか言ってるあたりまで)、そこから一気に
loveモードでした。
海老蔵さんは海神別荘の時とは一転、今度は目元涼しげな
若武者になってました。
ていうか爽やかな美丈夫って言葉がぴったり。
海老蔵さんって濃ーいイメージあったから、まさか彼から「爽」と
という言葉を連想する日が来るとは。
泉鏡花の戯曲だけあって、古典歌舞伎とは違いイヤホンガイド無し
でも話がわかりやすく、かつ日本語が美しくて、独特の世界観を
楽しめましたー。
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