ひかりごけ 4/11M
船長:日下武史 西川:中村 匠
八蔵:神保幸由 五助:高橋征郎
普段四季のストレートプレイはスルーしてる私が、珍しく
ずっと見たい見たいと思っていたのが「ひかりごけ」です。
でもなぜ、いま(笑)!!
外は生命力溢れる春うららかな陽気、中は極寒と飢えの
極限状態という。小学校低学年くらいの子も見に来てた
けど、わかるかなー。
印象的なのがまず舞台装置です。前面以外が全て白で
覆われ、舞台奥に向かって縦横の線が伸びています。
ところどころに穴が空いていて、2幕ではそこに仮面が
嵌められます。
この縦横の線が舞台奥が狭く…というか、前面の役者陣が
かなり客席に迫って見える効果があるようで、たった4人の
登場人物たちなのにこちらに与える圧迫感が凄い。
更に、陸の孤島に残された彼らの閉鎖感も感じさせます。
舞台は全2幕構成。1幕は難破して流され陸の孤島に辿り
ついた船長以下船員たちが、飢えに苛まれ衰弱していく
様子が描かれます。生き残った者たちの前に立ちふさがる
選択肢。続いて自分もこのまま死ぬか、それとも死んだ
仲間の肉を食して生き残るか。
2幕は一人生き残った船長が裁かれる法廷が舞台。
壁の穴にはめ込まれた仮面がそれぞれ検事や弁護士、
裁判長となって、船長の罪を暴き、人肉を食した彼の心情を
量ろうとします。声のみ登場する彼らの声が機械で変声され
ているのは(プライバシー保護の時に使うボイスチェンジャー
みたいなのね)、仮面の演出と合わせて記号化された
世間一般の反応ってところなのかな。
最初に逝き「俺の肉を食べるのだろう」と残された者に一つの
種を受け付けていく者、仲間を食らうことを進んで受け入れる者、
本能に負けて受けいれ後悔する者、拒否する者・・・。
船長は人肉を食した者、食われた者からでなければ裁かれた
という気がしないと2幕で述べてましたが、本当にそれだけの
極限状態に陥った人達以外、裁くことも船長の心情を推し量る
ことは不可能なんだろうな。
日下船長の不気味な存在感がこの舞台の最大の肝ですね。
西川が船長に感じる恐怖はそのまま観客の恐怖でもあります。
別に仲間の死を願ってるわけではないけど、彼らが死ぬのは
わかってる。死んだら自分は食べるだろう。ただ「待っている」
というのは、傍から見たら明確な悪意や敵意がない分相当
怖いわけですが、それをさすがの表現力な日下さんでした。
食べられたくないから海に飛び込んで死ぬと言う西川に
「お前はそんな意地悪な子じゃなかったろう」「もったいない」と
迫る1幕終盤の日下船長は、また別の怖さでした…。
2幕でも言っていた「ただ、我慢している」というこのセリフを
まだ私は上手く噛み砕けないでいるんだなぁ。
「五助を食べたくはない。でもあの肉は食べたくなる」という
セリフが印象的な神保八蔵、自分を食べないでくれと懇願して
逝った高橋五助らのベテランに対し、若さゆえの潔癖さで
苦悩し混乱していく西川演じた中村さんも好演でしたね!
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