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米澤穂信「ボトルネック」

米澤穂信さんの作品を読んだのはこれで3作目(1作は短編だけど)ですが、
なんかこの方、読むたびに作風が違うなあ。不思議。興味深いのでもう
何作か読んでみたいと思ってます。
で、今回は簡単に言うと青春風SF?
ふとしたことで、自分が生まれなかった平行世界へ飛ばされてしまった主人公。
そこでは生まれる前に亡くなっていたはずの姉が存命であり、彼女の影響で
周囲の環境も少しだけ変わっていた。
それは、不仲であったはずの両親の和解だったり、病死したはずの馴染みの
定食屋の主人が存命であったり、事故死した想い人が救われていたり。
それらの違いに共通するのは、すべて平行世界の方が事態が好転していると
いうこと。その起因が全て姉であったこと。
利発で活動的な姉と元の世界に戻る方法を模索しているうちに、さすがに
主人公も気づく。自分という存在こそが排除すべき問題点ボトルネックで
あったのだと。

残酷な話ですよね。自分という存在を完全否定されたも同然ですから。
自分の世界しか知らなければそんなことを思う必要はなかったのに、姉の
生きるより良い世界を知った上で、しゅじんこうは元の世界に戻らなければ
ならない。
この先ずっと「自分でなく姉が生きていたら、こんな不幸でなかったのに」
と思いながら生きなければならない。
現実ならこんな風にゲームのように、今いる世界と違う選択肢が選ばれた世界
を覗くことなんてできないけど、主人公はシュタゲ風に言うと世界線を超えて
もうひとつの世界を見てしまった。

ラストはオープンエンドで読む人によって想像する結末が異なると思います。
生死を自分では決められず、誰かに決めて欲しいと望んだところに届いたのは
母からの愛情の欠片も無いメールでした。
さて、終盤主人公が平行世界に飛ばされたのは亡き想い人ノゾミによるもので
あったことがわかります。それは、「彼女が望むもの、望んで得られなかった
もの」をないがしろにしてきたからと主人公は認識したのですが、それは一体
何か。
生という説と家族という説があると思います。
後者なら主人公は生きることを選んだんじゃないかと。ラストの母親からの
メールは相変わらず愛情の無い冷たいものですが、主人公は姉という一つの
指標を得て、亡き姉やノゾミと違いいま生きている。だからこそ主人公は
これから向き合うべき壁の高さに、そして変わらぬ現実に笑ってしまったの
かなと。つまり武者震い的な意味合いでね。
しかし実際は前者なのかなあ。生きることを半分諦めたところに駄目押しと
しての母親のメールなら。そう捉えると希望の無い結末が見えてしまいます。

ネットで考察がけっこうあって、読んでて面白かったです。

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