綾辻行人「暗黒館の殺人」
注意!!ネタバレしてます!!
いや長かったね~!文庫本で4冊。
まあ物量的な長さもあったんだけど、なかなか読み進められなくて…特に
1~2巻あたり。3巻はダリア関係、4巻はもろもろ真相がわかるんでいいんだ
けど、1・2巻のさあ…。
何か気付いて指摘しようとしては口ごもるか後回し、伝えようとしては事件が
起こって中断というパターン多すぎて、ね。
最初のうちは「あ、これ後で伏線になるんだろうな覚えとこ!」って思ってたんだ
けど、もう諦めた…これよく中也くんキレなかったよな?まあさすがに宴のあたり
ではキレてたけど。
それに合間合間に入る違うフォント(違う視点)も読みにくくて。
最後まで読んで全部理解した上でもう一度読みなおせば、「あーそういう事か!」
って思えるんだけど、とにかく文章量の多さがその気持ちを萎えさせたわ。
でもまあ3・4巻あたりで色々解明されていくあたりは面白いし、最後まで読めば
館シリーズの集大成ともいうべきカタルシスが感じられるんだけどね。だから
読んで後悔は勿論ないんだけど、とりあえずとっかかりが大変かな(笑)。
それと、2人の江波くんね。ちょっと強引な気もする。後で数ページに渡って「ほら、
ここも伏線だったでしょ?ヒント出してたでしょ?」って提示されるんだけど、こち
らはもうその気力が無かったから…。
でも玄児と忠教の入れ替わりと柳次郎を含めた3人の父子の最後は良かった。
館モノのミステリで炎に包まれた館に真犯人とその関係者が死んでいくの最高だし
しかしダリアの祝福を受けた彼らはどこかで生きているのかもしれないという余韻を
残している暗い幻想も素晴らしかった。
市朗と助けられた慎太の関係にもリンクしてるのも、江波くんが現代の暗黒館に
触れるラストも良かったな。
つまり、トータル凄く良かったんだけど、疲れはした(笑)
そういえば玄児さんと中也くんはどういう関係なんですかね…?
玄児さんは何も知らないままの中也くんを自分の一族の檻に入れようとしたし、
中也くんも最後「僕はあなたのことを」って言いかけたしなあ。
とはいえ中也くんは普通に結婚して家族を凄く愛していく人だから、別にそういう
趣味ってわけじゃないと思うんだけど、でもきっと玄児さんのことをこのあと背負い
ながら生きて行くんだろうね。決して長くはなかった人生だけど、濃いよねえ彼の
人生。
風変わりな、とこれまで称されてきた彼だけど、とても繊細だし他人を思える優しい
人だったんだねえ。
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