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12/9M舞台「遙かなる時空の中で3」

[劇作・脚本]坪田文 [演出]西森英行
[出演]春日望美:吉川友 /有川将臣: 井上正大 /源九郎義経: 早乙女友貴
ヒノエ: 杉江大志 / 武蔵坊弁慶:石渡真修 / 有川 譲:千綿勇平 /梶原景時: 輝馬 /
平 敦盛:星元裕月 /リズヴァーン: 村上幸平 / 梶原 朔:野本ほたる / 白龍:稲垣成弥 /
平 知盛:中村誠治郎 /
菅原健志 / 小笠原竜哉 / 北村海 / 久田悠貴 / 石上龍成 / 坂本和基 / 松田一希 / 他
まず言えるのは、ありがとう、そしてありがとう。
遙か3を舞台化してくれて、最高に強くて綺麗な春日望美を持ってきてくれてありがとう。

ネオロマシリーズで一番好きだった「遥かなる時空の中で3」が、遥か舞台シリーズ
10周年の年に満を持して舞台化です。

正直脚本家さんも演出家さんもよく知らない方だったのでどうなるかと思ってたんですが、
良かった!上手かった!よくまとめてくれたよ~。
こういう乙女ゲーを舞台化する場合、誰か特定のキャラの攻略ルートにするか(「薄桜鬼」
とか)、ちょいちょい各キャラのエピソードを入れながら大団円にするか、まあやり方は
いくつかあるんですが、今回はどちらかというと九郎寄りの青龍ルートかな。定められた
尺の中で遥かのエッセンスを抽出して、遥かの物語として魅せてくれた感じ。
1周目の京都までで1幕、2幕で京都から一気に福原攻めで源平合戦を終わらせる展開
で、平家は安徳天皇と尼御前を将臣が南に逃がす。ゲームをプレイした私でも「こういう
展開もあり得たかもな」って思える説得力のある話になっていましたね。
とは言えこの行動を許さないあろう真のボスたる頼朝と政子様は健在で本当はこの後が
大変なんだと思うけど、とりあえずこの舞台では二人は出ないし、鎌倉の犬たる景時も
そういう動きを見せないし、源氏側は一枚岩的に見えるようにはなってるかな?
エンディングも九郎が「これからも民の平和のために戦う」って言ってたし、平家との
戦いは終わっても真の平和な世の中にはまだこれからって意味なんだろうな。
望美もそれが叶うまでは京に残留するみたいだしね。
望美役の吉川さん、なんたって乙女ゲーなのにバレンタインイベントで攻略キャラの
男性陣蹴散らして人気投票1位を取るようなヒロイン演じるのプレッシャーだったと
思うし、実は誰よりも強くなるキャラだから殺陣も練習大変だったと思うけど(実際
傷や湿布が見えていたらしい)、ほんとうに強くて綺麗で凛としてて、私たちが思う
ままの神子、春日望美で嬉しかったよ。
望美は物理が強いだけじゃないんだよね。1幕の京都炎上で絶望して(私も泣いた)、
そこから立ち上がってみんなを自分の手で守ろうとする心こそ彼女の一番の強さ
なんだよね。2周目の世界で九郎が前回と同じように望美の手を取って覚悟を
問いただそうとしたら、逆にその手を取って前に引きずり出して「覚悟ならあります!」
って詰め寄るのかっこよかったし、その後花絶ち見せるのも、チートで良かったよね。
はきはきした物言い、ごく普通の女子高生らしい喜怒哀楽もあって、好感しかない
俺たちの神子でした。

井上まーさんの将臣くん、豪胆でありながら望美と敵対してしまう関係に揺れる繊細
さもありつつ。特に2周目は望美の方が覚悟完了してて福原の海でも九郎が止め
なければ殺されてたんじゃないかって気もする。夢で逢うシーンでは頭撫でたり後ろ
から抱き込んだり、わりと乙女ゲー要素を担ってたと思います。普段からこんな様子
ならクラスメートは絶対二人は付き合ってると思ってると思いますよ。というか、「そっか
遥か3って乙女ゲーだったわ」って思い出させてくれる貴重な存在。でもあの感じ
だと、2人ともお互いに大事な幼馴染、なんだよなー。今回の舞台のこの二人の
関係性、将望派の方の感想聞いてみたいな。
九郎さんの早乙女くんは、やぱり殺陣が凄くて。アニメやゲームと違って、実際にあの
衣装で殺陣をやると片手で長い袖を抑えながらになるんだけど、その手つきも綺麗
で一つの型みたいになってて、さすが殺陣慣れてる人だなと思いました。お芝居は
声とかを関さんに寄せてるとかそういうのはないんだけど、望美を心配しつつ怒鳴って
しまったり、望美との仲を冷やかされて動揺したりする言動がとても九郎さんだったね。
私、九郎さん好きなんで、この最初は反発しあいながらも価値観を共有できるから
同じものを目指す同志になっていく二人っていうのすごくよく表現できてたなと思い
ます。
弁慶さんは桃城やってた真修くん。戦闘中ヒラリと舞う羽織り物が綺麗でした。
弁慶も今回は九郎のフォロー役に徹していて彼の腹黒さみたいなものはあまり出て
こず、むしろヒノエくんと叔父甥ごっこしてる楽しそうな印象が強かったですね。ぜひ
十六夜記が舞台化したら、今回ヒノエくんにかましたグーパンを九郎さんにくれて
やってほしいです。
千綿くんのは、わりと原作では先輩厨としてネタにされやすいキャラだったんだけど
確かに先輩に近づきすぎる白龍を制したり、将臣のことを語る望美を見て目を伏せて
眼鏡を直したり、そういう先輩への想いを片鱗として見せつつ、隣に立って戦える
ように稽古してる姿に自然と応援したくなりました。あと私、単純に弓モーションの
殺陣が好きなので、戦闘中は結構彼も見てました。
杉江くんのヒノエくん、膝小僧が魅力的だったよ~。通路席だったんで彼が真横に
来たし、横通るときは肩にかけた上着の袖が腕を撫でていって、まじヒノエくん実在
してるわ…って実感したのでしたw今回の京急襲で平家側に着くという熊野水軍と
しての判断、彼だったら状況見て熊野が生き残る方に動くだろうなって思うから
ゲーム中でも有り得た展開だったなと思います。上手いよね。
星元さんの敦盛はほんと可憐だったよ~。そして実は望美、青龍の次くらいに今回
スポットが当てられたキャラだったね。望美の優しさと平家の怨霊事情を表現する
のに適してた設定だったからだと思うんだけど、暴走した時もあの外見から想像でき
ないような轟音の唸りを響かせて怪演でした。そう、声も保志さんに似てたの凄い。
輝馬の景時さんは今回の話だと陽気なお兄さん、みたいな印象だと思うんだけど、
本当の姿、鎌倉殿の懐刀にして犬としての姿が次は見られるといいな。それこそ
十六夜記とかね!あれ八葉の証である玉も取れちゃうくらいだからね。なお、良い
腹筋は拝ませて頂きました。
リズ先生の村上さん、覆面で目しか出てないけど感じる色気よ。作中で特にリズ先生
の秘密には触れられないから、ゲーム未プレイだど「なんかわからんけど神子の
ことわかってる風な人」って認識になっちゃうのでは。ルート的にわりくっちゃった
キャラの一人かな。
中村さんの知盛。いやーいいチモリでしたね!知盛はどう運命を書き換えても救えない
んだけど、最後に安徳天皇と尼御前を連れて逃げる将臣に「行け、有川」って還内府
でも重盛でもなく将臣の本名呼ぶの、2人の関係性が見えてなぁ。というかこのまま
十六夜記の際は中村さん銀をやってください!
終わって気づいたんですけど、これ九郎EDなんですよね。将臣くんは平家と一緒に
南へ行っちゃったし、九郎は「この戦いが終わったらお前に想いを伝えてもいいだろう
か」って望美に告げるんだけど、望美の返事も「はい。私たちならできます!」なんで
いまいち答えになってなさそうな気もしつつも一応お互い両想い同士だって認識
してるんですよね?九望エンドってことでいいですよね?
九郎ルートって王道で、将臣ルートはドラマティック度半端ないわけなんですが、
今回九郎ルートあざっす!って感じです。
はあ、また同じキャストで再演か十六夜記編やってほしい。

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