10/24M カナタ10周年記念公演『あぶな絵、あぶり声〜祭〜』
豊永利行 「薫~謝る女」
小野大輔 「深雪~幻影の女」
森川智之 「滴~埋める女」
小野さんがよく「朗読は声優の仕事のど真ん中」って言ってますけど、
このカナタの公演はまさに「朗読劇のど真ん中」って感じ。
なにせ、音楽はキーボードの生演奏。地の文も含めて全て一人の役者が
全ての登場人物の感情や想いの揺れを、約30分もの時間をかけて表現する
というこの企画。
今日日、派手な照明や演出、キャラクターごとの配役、オーケストラの
生演奏などをふんだんに盛り込んだ朗読劇も多いのですが、このカナタの
公演はそうした部分を極限までそぎ落として素材の力で勝負してる心意気を
感じました。
今回の会場は神奈川のランドマークプラザの中にあるランドマークホール。
ここも初めて。コロナ禍でいろんな場所で公演やってるから、初めての
場所に足を運ぶ機会も増えたなあ。
フラット床に距離を置いたパイプ椅子。1時間40分休憩なしなので、
ちょっとお尻が痛かったw
でも!今回実は最前列なんですよ!声優さんって声の演技のお仕事だけど
当然その声を芝居をするには表情もその芝居に現れてくるので、そのあたり
含め、じっくりたっぷり見ることができました!
あと、18歳以上の女性限定公演だったのでそういう意味でも快適でした♪
お話は3組の男女の心と体の物語。
体と聞いて多少際どい語りもあるのかなと思ったけど、あくまで触り程度の
表現でした。でもそれを目の前で男性陣が演じられるので、やはりドキドキ
してしまいますね。
豊永さんのお話は会社の教育係だった先輩と新人女性社員の二人が、結婚を
前に、人生を共にする対等な二人になろうと自覚していく物語。酔った彼女
さんかわええと思うか、イラッとすると思うかはあなた次第…w。
私、豊永さんは少年・若い役より「風が、強く吹いている」のハイジさんの
ような大人っぽい、ちょっと食えないキャラクターの方が好みなので、ご自身も
言ってましたが、年相応な今回の役も良かったです。豊永さんのお芝居、声の
響きが感情に乗って揺れるのが凄く好き。
小野さんのお話は、雪のような、冬の海に影を指す雲のような幻のように掴み
どころのないミステリアスな恋人への愛情を、改めて実感する物語。
女性キャラで言ったらこの小野さんの話の彼女が一番好き。彼女のふわふわした
声色に宿る彼への愛情、少しストイックな主人公の声から滲み出る思いの強さの
演じ分けさすがすぎる。小野さんは一見淡白に感じられるキャラからの感情の
漏れだす芝居が凄い。あと終始漂わせる灰色の切なさ。
出張から帰ってきたときの二人のやりとり、見る人の解釈に委ねられるという
ラストのやりとりが好き。幸せな結末を期待してしまう。
森川さんのお話は、所謂セフレのような、体のぬくもりだけを求めていると
思っていた相手への愛情と自分を埋める存在を知っていく物語。
不意にわりきった関係にヒビを入れられ、動揺し、自覚するまでの彼の感情の
流れが感じられるさすがの演技!
でも彼女が本命の彼へのアプローチのため、主人公を利用したとき、本当は
主人公にも揺さぶりかけてたんだじゃないの~?って疑ってしまうような
大人の駆け引きでした。あと森川さんほんといい声すぎて反則。
配信で映ってたかわからないけど、最後の挨拶の時に岩田さんが一瞬背中を
向けて目元を拭ってる姿にじーんとしてしまった…。
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