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有栖川有栖「赤い月、廃駅の上に」

未読の有栖川ミステリ短編だ!とよく読まずに買ったら、怪談でした!
それもテーマは鉄道怪談という!
有栖川先生の怪談、めちゃ興味あるじゃないすか…

駅は異界への入り口、っていうもんね。一度駅から列車に乗ってしまったら
自ら降りることはできず、どこへ連れていかれるのかもわからない。

相変わらず、作者さんとキャラクターと読者の距離感がちょうど良くて、
文章に品があって、ミステリではないけど怪談としてのオチも面白かった
です。ちょっとずつ飽きずに読めるのも良かった。
怪談といっても、幻想小説のような話もあれば、妖怪のような化け物が
出てくるような話もあって、さまざま。
ほの暗く懐かしい幻想に囚われてしまう人をただ見送ってしまう「夢の国行き
列車」や熱帯の熱に囚われたように得体のしれない異国の果てへ引きずり
込まれるかのような「密林の奥へ」、わりと直球に異形の存在と遭遇して
しまう表題作などなど。
私は「夢の国行き列車」がなんか好きでした。有栖川先生、こういう怪談を
書くのか!って初っ端に一発食らう感じ。単純に幽霊が出たといかそういう
話じゃなくて、怪談とは言え地に足の着いた、でも少し奇妙なお話ってのが
なんか良くてね。世にも奇妙な物語とかで映像化しても面白そう。


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