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書籍・雑誌

白井智之「そして誰も死ななかった」

とある推理作家の記念式典に孤島の洋館へ集められた5人の同業者たち…
という誰が見てもわかる「そして誰もいなくなった」のパロディなんだけど
クローズドサークル物の本格ミステリと思わせつつぶっ飛んだトリッキーな
展開をぶちこみ、それでもなおロジックは通ってる…最後まで読んでタイトル
に納得です。
ホラーのような悪趣味・下世話・グロさもあるんで、冒頭の居酒屋のシーンで
嫌な予感がした人は正解。でも伏線をガンガン回収しつつの二転三転する
犯人像、繰り出される数々の説得力のある推理は面白い。
うーんでも表現や内容としては好き嫌い分かれるなぁ。私はちょっと苦手かな。

今邑彩「そして誰もいなくなる」

名門女子高の式典の最中、演劇部によるアガサ・クリスティ「そして誰もいなく
なった」の舞台上で、演じる女子生徒が劇中の登場人物と同じように実際に毒死
してしまう。その後、次々に物語通りの見立てで殺されていく女生徒たち。

帯の「「事件解決」まで全て序章」って煽りをネットで見かけて気になって購入。
この作者の方の本を読むのは初めてですね。読んでてちょっと古い感じかなと
思ったら(屋上で煙草吸う女子高生とそれを黙認する女教師のやりとりとか)
96年が初版なんですね。もっと古いかと思った。

単純に超有名ミステリの見立てという構成だけじゃく、元になる「そして誰も
いなくなった」のテーマである「裁けない罪」のオマージュもあって、最後に
二転三転するの面白かったです。

髙田郁「花散らしの雨―みをつくし料理帖」

「みをつくし料理帖」シリーズ2作目です。
登場人物も多くなってきましたね。下足番のふきちゃん、私なら許せるか
わからないわ…。澪ちゃんは心が広いよね。見習いたい。
りうおばあちゃんも再登場願いたいですね。
恋愛模様もあからさまになってきましたね!美緒→源斎→澪→小松原という、
もうハチミツとクローバーかよ!一方通行片思いだね。
あと今回、おりょうさんと太一くんが麻疹に罹って命の危険の中にあった
ので、どちらかが亡くなってまたこの悲しみを料理への思いで乗り越えて…
とかいう展開になるんじゃないかとハラハラしてました。源斎先生も
特効薬のようなものはなくて養生して治すしかないって言ってたし、この
時代の病って本当に本人の気力体力次第で生死が分かれるんだろうなと。

料理人として人として澪が成長していってるのが感じられる

髙田郁「八朔の雪―みをつくし料理帖」

小関裕太くん出演映画の原作ということで読み始めたんですが、前々から
評判は聞いてたしTOKIOの松岡くんが出演してドラマ化もしてたよなーという
程度の認識はありました。
大阪から江戸に出てきた料理屋の奉公人の娘・澪が味付けの違いに苦しみ
ながらもその料理で自分と周りの人々を幸せにしていく物語。
いやー澪は雲外蒼天の運命って言われたわけだけどそれにしても大変な
人生だったよね。両親が水害で死んで孤児になったところを料亭の女将に
拾われ奉公人になり、その店が江戸に出店するってことになったらその
店舗が家事に。世話になった女将を支えつつ生活をしていたらこれまた
料理屋の老人に雇われることになり、彼から店を引き継いでそれが何とか
評判になり始めたらまた家事で店を失い。
大変な目に遭うたびに確かに人の優しさに手を差し伸べられてはいるんだけど
それにしても苦難の回数は多いよね。それに折れない澪のガッツは凄い。

小関くんは澪を見守る青年医師・源斎役。穏やかで清潔感があって優しくて
ぴったりじゃないですか!これきっと小松原様と三角関係になりますよね?
映画でもそのへんやらないかなー。

出てくる料理もどれも美味しそう!とろとろ茶碗蒸しとところでん食べたいな。
コラボカフェとかないかしらん

恩田陸「蜜蜂と遠雷」


主役はコンクールそのものだな、と。

芳ヶ江国際ピアノコンクールで2週間にわたって競い合う天才ピアニスト達。
一度ステージに背を向けたかつての天才少女。
万人に愛される才能とスター性を秘めた多国籍ハイブリッド王子。
地に足をついた生活を送りながら生活者の音楽を奏でる一児の父。
亡き巨匠の推薦状を持って現れたコンクール未経験のダークホースの少年。

コンクールの予選から本戦まで、コンクール出演者、彼らを支える師、審査員、
調律師、ステージマネージャーなど様々な人たちの緊張と興奮、喜びと落胆、
何より音楽に対する情熱を描いた本作。

原作はお馴染みの恩田陸さん。
書き始めるまでに5年かけたという綿密な調査で、素人には未知のピアノの
コンクールという独特の世界を描き切っています。
もちろん天才たちが競い奏でるピアノコンクールなので、音楽の表現も
多彩。特に小説で文学以外の芸術分野の天才を描くのって難しいと思うんだけど、
(天才的な演奏、天才的な画家の絵など)、演奏を聴く者の感情を揺り起こす
表現と固有結界というかマエストロフィールド的な?つまり演奏者のイメージ
する楽曲の世界を心象風景として出すマクロな描写と、聞き手のぽろぽろと零れる
ツイートのような、でもステージ上の音楽に揺さぶられた個人的なミクロな感情と
で、何人もの、何曲もの演奏を表現しています。

ほんとピアニストたちはなんでこんな過酷な世界で生きてるんだろうと読者に
思わせつつ、ステージ後の彼らの興奮を見るとそれも仕方ないのかもしれない
と納得させられてしまう部分もあったり。

コンクール後にこれまでの道を再び、また新たな道を歩き始めたピアニスト達の
その後については描かず、コンクール本選を描くところまでで

人間の最良の形が音楽だ

三浦しをん「天国旅行」

「心中」をテーマにした7つの短編。
三浦しをん、「風が強く吹いている」や「舟を編む」みたいな
強弱ある光属性の話だけでなく、こういうひんやり冷たい熱を
感じる話もあるの良いなー。
 
自殺しようとした地で出会った青年
愛の証のように心中未遂を重ねる老夫婦
時を経て初婚と再婚相手へ同時に殉じた妻
夢と現実の狭間で心中の先に愛を夢見る女
想い人を自殺で失った二人の少女の一瞬の熱
心中したかのように、死んだ恋人の幽霊と共に生きる
一家心中の生き残りと彼にその友人
 
結末は曖昧で安心感とも悲しさともいえる不思議な余韻が残る。
死を選んだかもしれない人、ぬるま湯のように死の傍でただ生き
続けることを選んだ人。想像が膨らむ。特に後半3つの話は続きが
どうなるのか気になるな。
一番希望があったのは「森の奥」かな。逆に怖かったのは「星くず
ドライブ」かな…恋人との関係に終わりがないの恐ろしい。
「遺言」のラストの文章美しかったな。解説読んで初めて気づいた
けど、この2人、確かに男女とは一度も書かれてないんだよね。
男同士かもしれないし女同士かもしれない。なるほどなるほど。

三津田信三「首無の如き祟るもの」


有栖川有栖先生が2019夏の推しミスでセレクトされていたうちの
1冊です。刀城言耶を探偵役とするシリーズだったようですが、
前後の作品を読んでも無くても大丈夫でした。
淡首様や首無しの化け物などの古くからの怪異伝承が色濃く残る
田舎の村で、旧家の跡取りを巡る戦中戦後を跨ぐ双子の惨劇。
現地の駐在警官の妻が捜査に当たった夫の話や自身で調べた資料を
もとに、実在の事件に基づく連載小説という形でその経緯を読者に
示し解決を求める。
事件現場が広範囲な密室だったり、各人のアリバイを考えたり、そも
そも登場人物が結構多いので若干混乱しながら読みましたけど、地図も
人物一覧も巻頭にあるので助かりました。
ボリュームがあり、合間に十二国記を読んで中断しちゃってたんで
余計にわかんなくなっちゃってたんだけどねw
この時代ならではの閉鎖的で濃く因習に絡みついた人間関係、男装の麗人、
一族の跡取りへかけられた呪いなど、奇怪で陰惨な首無し死体の殺人
など様々な要素で広げられた謎が終盤一気に論理的な本格ミステリに
収束していく。
意味不明な事象にわりとしっかり論理的な理由が紐づけられていくのは
面白かったです。有栖川先生がお勧めしてたのもこういうところなんだ
ろうな。

小野不由美「白銀の墟 玄の月」3巻・4巻

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1巻・2巻とわりと戴の厳しい現状や地名、道観や土匪等といった十二国記
独自の宗教や土着の群れの説明が多いし、李斎たちが驍宗の手がかりを追って
は無駄足になり、でもかすかに繋がる細い希望の糸を手繰り続ける展開が
続くので、結構読むのはハードなんですけど、3巻から話が動くし会話文も
多くなるので読みやすくなりますね。
3巻では2回泣きました。
十五章の正頼の牢の鍵を奪うため、慈悲の生き物である泰麒が意志の力で
見張りに立ち向かう時に「先生」と広瀬を呼ぶシーン。
私、実は十二国記は本編より先に「魔性の子」を読んでるんですけど、この
時は十二国記とのつながりをよく知らないまま読んだので、わりと単純に
ホラー小説だと思ってたし、主人公の広瀬目線だったからやっぱり高里要に
置いて行かれた感はあったんですよね。その先の泰麒としての使命も戴を
背負っていることも知らなかったから、ちょっと広瀬気の毒だなって。
でも、泰麒が辛いことも多かった蓬莱を故郷と呼べるのは広瀬がただ一人、
居てもいい、と言ってくれたからだって。だからその故郷と呼べる蓬莱に
大量の犠牲を巻き起こしてまで帰ってきたこの戴を救わなければと思って
くれてることが嬉しかったな。
それから十七章のラスト。
驍宗を救うためには本当に大きな力が必要なんだけど、正直力ある官吏や
武将単体でそれを起こせる人はいなくて。でも苦しい生活の中で各地で
大切に隠され守られてきた民の灯した小さな火を李斎たちが繋げていく。
それが、一番際立ったのが姉を無くした少女とその父が、日々の食事にも
困窮する中でなけなしの食糧を供し続けたその行為が、自分を救ってくれた
恩人への感謝の気持ちを失うことはその人を弑する悪王を赦す事、それは
飢えて苦しむ事より辛いことだという思いが、間違えようもなく正しく
驍宗へ届けられ、彼を生き長らえさせていたこと。何より、ここでよう
やく驍宗の生存が確定したこと。
4巻は、少しずつ墨幟に人が集い、驍宗が驚異のサバイバル能力で自力で
落盤の大穴から脱出した後に李斎たちと合流したところくらいまでは、イケイケ
だったのに、一気に仲間たちが死んでいって絶望モードに。もう捲るページ数が
どんどん少なくなっていって、このまま心中エンドしかないんじゃないかと
思った。でも、
「泰麒は光に向かって駆けだす」。
ここからは本当に、映像が目の前に浮かぶようだった。
個人的にはいい意味で泰麒に裏切られっぱなし!私たちはどうしても
幼くて稚くて守ってあげたいお可愛らしい泰麒の印象が強いからさ。
それにこれまでシリーズを読んでて頭に沁みついた麒麟の特性。
慈愛深い、善性の生き物。自らの王以外叩頭しない。何より血の穢れを嫌う。
それが李斎すらも一度疑い、阿選を騙そうと画策し、ついには人殺しまで。
それを強い意志の力で、ねじ伏せた。本当に泰麒は強い。
それに麒麟の力の回復を隠し通した。
そして18年間待ち望んだ王と泰麒の再会。
「蒿里か」「…大きくなったな」「よくやった。-もういい」
厳しい戴の冬を乗り越える苛烈な、紛れもない戴の血脈をその瞳に見たとき、
泰麒は再び転変するんだよね。ここでまた泣いた。
阿選のことは、完全に理解しきれたかわからない。
嫉妬とは厳密にいえば違うのかもしれない。でも、永遠に誰かの影であり続ける
ことは辛いということなのかもしれない。来年の短編集でそのあたり、わかるかな。
あと、最後に好きな延王と延麒のコンビが出てきてくれたのも嬉しかった。
この二人の安定感たらないよね。

「戴史乍書」販売してください。

小野不由美「白銀の墟 玄の月」1巻・2巻

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は~読み終わりました!さすがの情報量の多さ!また十二国の世界について
学んでしまった。たぶん完全に理解しきれてないし、神農とか土匪とか地名
とか登場人物とかなかなか覚えきれないですがw、続きが気になってぐいぐい
読み進めてしまいました。続きはまた11月…待ち遠しい!
18年ぶりの続編となる本作は、蓬莱より戻った泰麒と女将軍・李斎が
驍宗の行方を追って厳しい暮らしに喘ぐ戴を巡る物語。途中、泰麒は
李斎達と分かれ白圭宮に戻り台輔として王位の簒奪者・阿選の元に入る。
一方の李斎達はとある地に匿われていた驍宗と思われる男の死を知るが…。
こんな感じかな?
とにかく、戴の現状が地獄でね…。読んでてつらぁ。
阿選の真意はまだよくわからんけど、白圭宮の官吏たちのゾンビ化は
鳩だよねえきっと。こっちだと不吉な鳥っていうと烏とかで鳩ってむしろ
平和の象徴だけど、きっとやたら白圭宮を飛んでる鳩って妖魔かなんかで
無気力化の原因だよね。
で、きっと後半は琅燦とか耶利とかが鍵になって英章たちも立ち上がって
きっと驍宗も生存してて王位に戻ってきてくれるはず!
2巻の終盤で泰麒が国と民のために阿選を選んだのではないかという
話は、麒麟とは国のための存在で王のための存在ではないという事実を
今更ながら突き付けられた感じでした。
延王も自分の事「雁の小間使い」って言ってたけど、麒麟は国と民の為に
なるから王を選び王に仕えるのであって、どんなに王と麒麟が絆を結んで
いたとしても天のシステムの一つである麒麟はやっぱり本質的には国と
民を選ぶんだよねって。
十二国記の麒麟を通した天命による王の選定システムって、銀河英雄伝説で
言う「死なないラインハルト」=死なない名君をもたらすものなのに、戴国
については全部システムが裏目に出ちゃってるんだもんなぁ。

歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」

いやー変わったお話でした!
推理好きの5人が自らが起こした殺人事件の謎解きクイズを出し合って、
ネット上で議論し合うという。
ただの推理クイズと違って、問題になる事件は全てその時の出題者が実際に
起こしたものという倫理観?はて?みたいな。 
密室やアリバイトリックだったりミッシングリンクだったり(犯人当てはない。
出題者=犯人だから)色々あるんで、推理クイズ集を読んでるようでも
あり、ただ「使いたいトリックがあったから」という楽しさだけで人を殺して
いく彼らのというぶっ飛んだ思想に気が遠くなったりもしたり。
最後の事件の意外性良かったな。いつかはこんな問題来るんじゃないかと
思ってたけど。
これ続編があるんだね。全然調べてないけど、登場人物同じなのかな。

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