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書籍・雑誌

荒木あかね「ちぎれた鎖と光の切れ端」

あ~孤島ミステリ物、そんで語り手が…のパターンね!と最近よく読んだ
傾向の設定だったのであまり期待せず読み進めたんですが、いい意味で
裏切られたなあ。
読んでる途中から「あ、これ面白いな」って感じられたの久しぶりかも。
トリックがとかキャラがというより、1部、2部と読み進めていくとわかる
全体の構成の伏線や、連続殺人をテーマにした孤島ミステリなのに希望の
見える終わり方がとてもよかった。
1部で失われたものはもう取り返しがつかないし、犯人と対峙した時に
主人公の胸によぎる切なさがある。
でも未来に救いもまたあるんだよね。

ただ、主人公が先輩のことそんなに復讐するほど好きだったん?って
のはちょっとあるけどね笑

これまで読んでたようなやつだと、主人公と変り者の九条が探偵役になって
連続殺人の謎を解いていく感じ?なんだろうけど、殺人のテンポとスピードが
速くて、まだ本の真ん中くらいのページなのに、ほぼほぼみんな死んだ?と
なったら、実は…という。全て理解した上でまだ1部を読み直したくなる
完成度の高さでしたわ。
2部の主人公や女刑事が語る九州や職場での男尊女卑の話は令和ならでは
だなとも。ちなみに女刑事のハンドクリームの匂いがやたら強調されてたので
オチでこの匂いきっかけで実は黒幕だとバレるみたいな展開になるのかと勝手に
予想してたんですが全然違いましたね。

真藤順丈「ジョジョの奇妙な冒険 無限の王」

ジョジョのスピンオフ小説は今まで読んだことなかったけど
今回はリサリサ先生がメイン、時期的にも波紋とスタンド、
二部と三部の狭間期とも言える1970年代から80年代あたり。
てっきりリサリサは2部以降、再婚して戦闘とは離れて隠居して
暮らしてるのかと思いきや、再婚した夫と死に別れた後はまた
SPW財団の顧問として活動していたんだなあ。
そりゃ、ジョセフも気が気じゃないよね。

リサリサの弟子でジョセフやシーザーにも師範代として指導した
ロギンズ&メッシーナの子孫がSPW財団で波紋使いとしてリサリサの
護衛と調査官を務めてるの、やっぱり2部からの繋がりとして
嬉しかったし、波紋とスタンドが両方使えるのはジョセフしかいない
と思ってたからそのメッシーナの孫のサーシャが同じく波紋と
スタンド両方使えるのにもびっくりした。
っていうかリサリサもなってた。
何より、最終章で齢100歳にもなろうかというリサリサがそれでも
まだ自分にはやることがあると前線に立ち続けるのは、かつて自分より
若い者たちにリスクを押し付けて自分は前線から遠ざかって、彼らを
致命的な運命の結果に追いやってしまったという想いがあったから。
そしてそこで最後に挙げられたシーザー・A・ツェペリの名に深い
後悔が感じられたな。

オリジナルキャラクターの造形や心理、時代背景もしっかり描かれていて
説得力のある話だった。
リサリサ先生も2部の超然とした姿の印象が強かったけど、いや本作でも
すっごい人なんだけど、もっと内面が描かれた分、人間味が増した
感じがしたよ。まさかリサリサ先生も最後スタンド発動するとは思わなかった
よ!ハウスオブアースだっけ。直接触れないと波紋を流し込めないという
波紋使いの問題点を、波紋の風を送り込むというやり方で解決したという
意味で、波紋使いの最高点にリサリサは達したのかもしれないなあ

方丈貴恵「孤島の来訪者」

これまた予備知識無くて面白いミステリー物として紹介されていて
図書館で読んでみた一冊。作者さんも初めての方。
本作だけでも読めるけど、シリーズものになってたみたい。

幼馴染を殺された復讐のためTV番組のロケスタッフとして幽世島へ
乗り込んだ主人公は、計画に先んじて標的を何者かに殺されてしまう。
彼らを狙うのは、異界からやってきたマレヒトという存在で…
いや~また「特殊設定ミステリー」だった笑!

今回結構ガッツリとルール設定があるので、特殊設定をそういうルールの
世界という前提でミステリーとして推理をしていく感じです。読者への
挑戦も挿入されている本格仕様ですぞ。
ルールの細かさ(縛り)がマレヒトも主人公達をも雁字搦めにして、途中で
わけがわからなくなったりもしましたが、個人的にはこのマレヒトという
存在とそれを封じてきた村の因習村的な背景も楽しかったです。

米澤穂信「黒牢城」

Xでおススメのミステリとして流れてきて、ほぼ何も考えずに図書館で
予約してしまった本作。勿論、作者の米澤穂信さんの本は何冊も読んで
て好きな作家だったので間違いはないだろうなと思ってたけど、まさかね。
こんな切り口のミステリだったとは。

一言で言うと籠城中の荒木村重が領内で起こった不可思議な事件を、自分が
土牢に捕らえた黒田官兵衛に語ってきかせ、黒田官兵衛が安楽椅子探偵よろ
しくその謎を解くという。
ぶっとび設定だよね。おもろー!ってなった。
織田信長に謀反を起こして籠城中の荒木村重が主人公ってだけでも面白いのに
(正直、荒木村重についても大河ドラマなどで多少見知ってるくらいで、
あまり詳しくなかった)、名軍師と名高い黒田官兵衛が探偵役だよ。
どっからでてくるのこの発想。
中編で構成されてて、物語の進行とともに、荒木村重や有岡城、摂津を取り巻く
情勢も変化していく。
個々の奇妙な事件もさることながら、なぜ囚われの黒田官兵衛が荒木村重の
持ちかけた問題の解決に協力するのか、それにより荒木村重の謀反はどう
なったのかなど歴史ものとしてもとても面白かった。
荒木村重の謀反が成功してないことと黒田官兵衛が助けられたことは知って
たけど、詳細思わず読了後にWIKIで調べちゃったよ。それくらい面白かった
そして私はずっと大河ドラマ「秀吉」の頃から竹中半兵衛派です笑

 

今村昌弘「屍人荘の殺人」

大学のミステリ愛好会の探偵気取りの変り者の先輩。
ワトソン役を自認する語り手の後輩の男子学生。
彼らが招かれる映画同好会のペンションでの合宿…
何やら過去に曰くがありそうな個性的な登場人物たち

導入は私たちがよく馴染んだテイストです。

ペンションをクローズドサークルにせしめた設定こそ特殊ファンタジー
要素があるものの、そのルール下で起こった殺人事件については
きちんと論理的で、ちゃんとミステリーしてるって感じ。
ミステリーとしての部分とこの特殊設定故に彼らに迫った危機感が
いいバランスで両立してて読みやすく面白かったです。
しかし明智さんは何だったんだ…

乾くるみ「イニシエーションラブ」

なんか「作品に仕掛けられたトリック!」みたいな前振りを知ってたので
勝手に「イミテーションラブ」だと思ってましたわ。ちなみに私は仕掛け
自体は気づかなかったwまゆが何かあるんだろうなとは思ってたけど。
作中で「イニシエーション」について触れられてる部分が結構後半にあって
「あ…」となりましたね。
SideAでは女性に奥手な男性主人公がSideBでは仕事のできるモテそうな
男性になってるんだから、まゆは凄いね笑
夕樹だからたっくん呼びってわかりにくいと思ったけど、まあまゆにはそっち
のが楽だよね。少なくともSideBでたっくんがしちゃったことみたいなミスは
しないんだから。
ラストあそこからどうなったんだろうね?夕樹くんと一緒にいるのが幸せなん
じゃない?と思ってしまうわ

西澤保彦「神のロジック~次は誰の番ですか」

西澤保彦自体は、名作と名高い「7回死んだ男」もタックとタカチシリーズも
読んだことはあり、どれも一定の面白さは感じるのですが作家読みしたいと
思えるほどではなかった…という印象でした。結論として、その印象は
変わらないかも。キャラクターにあだ名をつけて呼ばせるのも頭に入って
来にくくて。

外国の全寮制の学校に集められた6人の子供たち。勉学や推理ワークショップ等の
不思議なプログラムに励みつつ、自分たちがなぜここに呼ばれたのかあれこれ
想像を巡らせる…
キャラでは妃殿下が好きでした!

今回の本はSNSで「衝撃の結末!」と評判で、実際思ってなかったラスト、
言われてみれば確かに!な伏線の張られ方でした…!

ちなみにタイトルは一度「神のロジック 人間のマジック」から改題されている
そうで、みんな言ってますがこれは明らかに前のタイトルの方がいいですね。
作中で出てきた母の宗教の話が作品全体の大きな伏線になっているんですが
そこにひっかけてある良いタイトルだなと。新しいタイトルの方は「次は
誰の番ですか」があまり意味がないし、なんか勝手にデスゲーム物だと思い
こんで途中まで読んでいたw

芦沢央「許されようとは思いません」


この方の御本は初めて読むかな?非常に読みやすかったし、
導入がどれも惹かれる構成で、なんか勝手に長編と思い込んで
たんですが、読んでみたらあっという間の5作の短編集でした。
どれもタイプが違ったミステリーで楽しめました。
特に良かった「姉のように」は、伏線とどんでん返しという
醍醐味が感じられたな。中身はとてもつらいけど。
因習村のような表題作「許されようとは思いません」も、胸糞の
悪さの中で恋人との結婚へと繋がる暖かく芯のある強さもあり
良かったです。
「目撃者はいなかった」の、会社で自分の失敗を自分で隠ぺいしよ
うとしてどんどん追い詰められていくのの胃がキリキリする感じ
わかりすぎたw

どれもラストで予想外の展開に連れていかれるお話で好みでした

三浦しをん「ののはな通信」

ミッション系女学校に通うののとはなの二人が交わす、教室で
密やかに回すメモ、明日も会うのに速達で送ってしまう手紙、
やがて時を経てメールでのやりとり等のみで綴られた物語。
無邪気にクラスメイトの些細な悪口や連載中の「日出処の天子」の
感想を語っていた少女時代から、互いへの想いが友情を超えた恋愛で
あることへの自覚、幸せな恋人時代から裏切り、破局。
外交官の妻、フリーライターという大人になって再びのメールでのやりとり。

二人の愛しくも辛い記憶が、砂漠の砂の底に眠る神殿のようにずっと
人生の芯となって二人を生かしていく。
燃えるような恋愛ではなく、互いに緩やかに繋がる相手を得た後も
自分にとって運命の相手はずっと心の中にあり続けるという。
どこかで「この二人は再会して再び恋愛関係へ」って流れにはなって
ほしくないなと思いながら読んでたな。
友情から始まり、恋愛に至って別離した彼女たちにとって、当時の
熱情を静かに砂の底に眠らせながら互いへの尊敬と思いやりで結ばれる
ことになったのは安心した。

対面しての会話ではなく、文字のやりとりだからこそ伝えらえる想いも
あるよね。日々の出来事に向けられた眼差しや深く自分を見つめる思考、
理想と現実、大人になることなど、様々な思い、言葉たち。
ラスト、はなが一人戦地に残り、ののが届く当てのない手紙を書く展開。
続きが気になりもするな。

藤崎翔「逆転美人」

今年はなるべく本を読もうと思って、新年早々本屋へGO!
ある事件に巻き込まれた美人過ぎるシングルマザーが、自慢やマウントではなく
自分の美貌のせいで被ってきた被害について反省を語った手記。
読んでいて感じる違和感。それが感じられる伏線はいくつもあったようだけど
私はシンプルに書き手の文章力の技量に少し疑問を持っていたかも。勿論
真相は見抜けなかったけどねw
似たギミックは見たことあっても、このレベルの規模でやったのは初めて
見たかも。大変だったろうな。

あとこれは作品の本筋には関係ないだろうけど、確かにルッキズムの
被害者である一面はあるだろうけど、年齢を重ねてもスマホ等の情報収集
手段を得ても全く成長しない主人公姿にイライラしてしまった…
容姿に関わらず、誰でも自分の得手不得手、短所を補う努力をしていく
ものだけど、この主人公があまりに何もせず自らの美貌による被害を
延々受けて学習もしないままだったので…。
そういうのを学べる環境に無かった、ということになってしまうのかな。

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